2011年12月19日 (月)

デンマークのレヴューミュージアム

羨ましいことに、デンマークには、演劇博物館とは別にレヴュー博物館があります。
コペンハーゲンの北に位置する市民の憩いの場、 Frederiksberg 公園の入口に位置する、絵画的な黄色い建物は青空によく映えます。
http://revymuseet.dk/

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11月末、コペンハーゲン大学で宝塚について卒論を書いているアナ・マリアさんと一緒に久し振りに訪れました。目的は、デンマークのレヴュー史と日本の特異なレヴュー、タカラヅカの歴史と文化を比較しながら展示をゆっくり鑑賞して歓談すること。

デンマークのレヴューと日本のレヴューは全然違う発展をしたけれど、1910年代、20年代は結構共通点もあったものです。華やかな衣装と舞台美術、女の子達のラインダンス、男役としても活躍する若い女性のスター達などなど。
例えば、Marguerite Viby (1909–2001:http://en.wikipedia.org/wiki/Marguerite_Viby)は小粋な青年やコミカルで哀愁もあるチャップリンも演じました(写真:http://revymuseet.dk/?page_id=23)。小夜福子さんや最近では霧矢大夢さんに似たタイプかしら?
1930年代の彼女は、まるで手塚マンガから抜け出した「リボンの騎士」のよう。
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1979年にチボリ公園のレヴューで男役のスタイルで出演した時もチャーミングで、生涯人気のある人でした。
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博物館では1849年から現在までのレヴューの変遷を総観できます。写真と映像の展示を軸に、舞台衣装や音声も直に見たり聴いたりすることができ、上映やミニコンサート等を開催するスペースも設けられています。
館内ガイド(動画):http://revymuseet.dk/?page_id=314

一番最初のレヴュー劇場はチボリ公園の中に、 Georg Carstensen (1812 – 1857:http://en.wikipedia.org/wiki/Georg_Carstensen)の発案で始められ、Casinoと名付けられたことは面白いと思いました。ここでも遊園地の中から生まれたのですね。

今回は、デンマークで最大且つ最年長のレヴュー劇団Cirkusrevyenの特別展も併設で鑑賞できました。
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このレヴュー団は76年続いているそうです。

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それでもタカラヅカは20年以上先輩になるということは、やはりすごいことかもしれません。博物館の方たちも遥か遠くの日本で、まもなく一世紀を迎えるというTakarazuka Revueなるものに興味津々でした。卒論や博論で取り上げる人も益々増えて来るでしょう。

熱心に展示を案内して下さった学芸員のニコライさんに感謝申し上げます。
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そして、館長のエリックさん曰く「演劇博物館の中に入っているとレヴューは低く見られてしまい、日の目をみないからね。」
嗚呼、事情はどこでも同じなのです。日本の演劇博物館でも音楽劇は苦労しております。オペラ>オペレッタ>ミュージカル>レヴューの順で、研究も少しずつ進んではいますけれど、宝塚歴史文化研究も着々と頑張りましょう!と、思える訪問でした。レヴュー専門の博物館が存在することは有難いことです。

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Tusind Tak !

追記:10年くらい前、まだファミリーランドが存在し、チボリ公園と友好があった時にお話しする機会があった文化企画担当の方と、「宝塚が北欧公演に来た時はチボリの劇場がぴったりですね!」と、笑顔を交わしたあの日が偲ばれます。阪神淡路大震災後、そして遊園地なき後、街の景観が大きく変わった宝塚市。武庫川の畔で、音楽学校と大劇場だけが独歩しなくてはならない時代。日本演劇史、さらには世界の演劇史のなかでどう位置づけられていくか、国内からのみならず、国外からも注目されています。

2011年12月 2日 (金)

MUSIK/TEATER MUSEET, STOCKHOLM

北欧通信です。
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音楽博物館が演劇部門も併設してリニューアルしたストックホルムの演劇博物館。
子供達が楽器を奏でたり、人形劇を見たり、いつでも家族で楽しめるプチ遊園地仕立てのミュージアム。
上下階が不思議な構成の風情あふるる建物は、なんと400年以上たっているそうで、昔は王室御用達のパン工房だったとか。空間だけでも充分に「演劇的」!

19世紀のスター女優Jenny Lind展を開催中。
http://www.musikmuseet.se/utstallningar/index.php?l=en&mmcss=l&v=3&utst_oa=1&uid=38

夜のコンサートが行われたり、とてもアットホームな博物館。

オペラ座で上映中の「カルメン」は、そのポスターは宝塚の男役並みにかっこいいものの、
実際の演出は過度にカジュアルでした。21世紀になっても、なかなかJenny Lindのような
「スウェーデンのナイチンゲール」は出ないようです。
オペラ座ではオペラとバレエが交互に上演されます。
http://www.operan.se/sv/Var-repertoar/Spelaret-20112012/Carmen/Forestallningar/2011-12-08-1230/

もうすぐ、クリスマスの定番、「くるみ割り人形」も始まります。
(家族連れに大人気のこの演目、宝塚の演出ということでは小池柊一郎演出でサンリオピューロランドの<ハローキティーのくるみ割り人形>があったことを思い出しました。樹里咲穂さんが声の出演などして、なかなか愉しいショーに仕上がっていたものです。オペラハウスでの上演は無理だけど、スケートリンクもある野外ステージや移動遊園地などでかかったら大ヒットしそう。こちらでもキティちゃんは驚異的な人気。ついでにタカラヅカもそのくらい知名度が上がれば良いのに?)

2011年9月20日 (火)

Vesta Tilley

宝塚男役にとても近い男役として活躍したVesta Tilleyが近年また注目されてきています。
V&A美術館にコレクションが公開されました。
http://www.vam.ac.uk/content/people-pages/vesta-tilley/

彼女の出身地Worcestershireも資料保存に努めています。
http://www.worcestershire.gov.uk/cms/community-and-living/records/online-exhibitions/vesta-tilley.aspx

協会もできました。
http://www.vestatilley.kk5.org/

Vestaのミュージカルも好評のようす。
観てみたいな。
録音に残っている声は柔らかくて少年っぽく、燕尾服姿は小夜福子さんに近いかな、と思います。

20世紀初頭、世界のショービズ界に宝塚のような男役で活躍した少女たちは他にもいたのです。
1920年代を未だにプンプン薫らせて王道を行っている商業演劇(しかも少女のみの歌劇というアイデンティティーで!)はもはや世界でタカラヅカしかないですが、20世紀の演劇史を紐解くと、
男役は宝塚だけではなくて仲間たちがいたことを忘れないようにしましょう。
Vestaはロンドンのアイドルでしたから認知度は高いけれど、もちろん、Vestaの他にも男役で活躍した少女(未婚の若き女性)はいました。
Vestaは結婚後、母となってから回想録を綴っていますが、彼女のファンは女性が多くて、
引用されているファンレターの文面からヅカファンに近いものを感じます。
戦後のフェミニスト論で宝塚世界を分析する前に、この頃の芸能界で形成されたコミュ二ティーの
形成のされ方を分析するほうが、宝塚ファンについても見えてくるものがあるかもしれません。


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Royal Opera House 『歌劇』のステイタス


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こちらはオペラハウス。
http://www.roh.org.uk/
どの国のオペラ座も、歌劇とバレエを交互公演するところが多いですね。
宝塚もいちおう(いえ、創立当初はかなり真面目に!)『歌劇』として始まり、
オペラ、オペレッタ、ミュージカル、ダンスなどマルチなジャンルを総括して
独自の「レヴュー」として進化(?)しているといえますかしら。
オペラとは何か?日本における歌劇とは何か?ミュージカルとの差異は?等など、歌舞伎も含めた音楽劇研究の中で宝塚をどうとらえていくか。
宝塚歌劇を軸にすると、他の音楽劇の歴史や特徴が浮き彫りになってくるのですが、
タカラヅカをどう定義していくか、あまり先行研究がないジャンルだけに
前途多難でもあり楽しみでもあります。

ロンドン ウエストエンド

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(2011年9月18日撮影)

1994年、宝塚のロンドン公演が行われたColiseum TheatreはENO (English National Opera) の拠点として今日も華やかな演目が続いています。
http://www.eno.org/explore/about-eno/london-coliseum/london-coliseum.phpLo
ということで、Royal Opera Houseよりはオペレッタやミュージカル傾向の作品が多く、価格も入手しやすく設定されていますね。
かつて、宝塚男役の元祖的存在のVesta Tilleyが活躍したのもこの劇場でした。
ですから、宝塚の会場になったのは相応しかったと言えましょう。


2011年9月 8日 (木)

宝塚文化創造館=旧宝塚音楽学校の現在

改装工事で一掃された外壁のツタ、強かに育ってきていますね。
遊園地もなくなって、殺風景になった風景に美しく映えるのはやはり緑!
無機質な高層ビルに対抗するが如く、ぐんぐん伸びて、
タカラジェンヌの青春を伝えるべく、力強い自然の力。
上に伸びる蔦をみていると、志や向上心を忘れないでねって教えられているような気がします。

こんなふうに緑を装ってきた旧校舎の2階に、
音楽学校の歩みを紹介する<すみれミュージアム>が開館しました♪

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2011年9月 5日 (月)

2011年 8月の宝塚

ほんとうに久しぶりの更新です。活動を停止しているわけではありません。いろいろな調査、研究、文化企画のアイデアを熟成させている、といえましょうか。今日はいくつかのご報告とお知らせをメモします。

★宝塚文化創造館(旧音楽学校)すみれミュージアム訪問
http://t-clip.info/event/event_detail.cfm?ID=1335 音楽学校の歴史を概観できる常設展示が7月よりスタートしました!

★宝塚唱歌隊と同じ1913年からの伝統、宝塚観光花火大会。まさに花火のレヴュー。
キラキラ宝石のような花火が武庫川に散り、売布神社方面まで照らします。

★9日は中山寺の星降祭のすごい熱気。


★8日は 国際演劇学会の宝塚観劇日
http://www.firt2011osaka.org/?page_id=35

☆宝塚ホテルは85周年。

 
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2010年11月23日 (火)

小林一三の世界展@山梨県立美術館

11月20日、土曜日の行楽日和、紅葉美しき甲府まで行ってまいりましたsun

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快晴の秋空の下、甲府駅から山梨県立美術館まで小林一三の故郷である韮崎行きのバスに乗りますと故人の生い立ちに思いを馳せながら親近感を覚えます。この日は県民の日。美術館のある芸術の森公園は家族連れの訪問者で賑わっていて、「ファミリーランド」を彷彿とさせました。

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14時半から同じ敷地内の文学館において、シンポジウム「小林一三の世界をめぐって」が開催されました。地元山梨大学の研究者の先生方、親族且つ元甲府宝塚劇場関係者の貴重なお話を聞くことができ、宝塚が小林一三の創案である以上、出身地は無視できない重要な「宝塚学」発信地・開拓地だと実感しました。地元ならではの知識も豊富で、熱心な聴衆とパネリストの間で活発な意見交換がなされました。小林が「第2の故郷」として住んだ池田は、韮崎と地形や景観が似ているのだそうです。次回は是非、韮崎まで足を運んでみようと思います。江戸時代から商業地区だったそうで、小林一三が子供の頃は旅芸人がやってくるのを楽しんでいたそうです。商人と大衆への愛着が、帝都よりも民都大阪を選ばせたのかもしれません。

韮崎情報

http://www.shokokai-yamanashi.or.jp/~nirasaki/main/fureaiticket/PDF/01.pdf

今回の「小林一三の世界展」は、池田文庫や逸翁美術館が協力していますが、県立美術館で開催だけあって、展示の細部まで学芸員の配慮が行き届き、ゆったりとした空間で見ごたえ十分。今月末まで開催中。この貴重な機会に小林一三のふるさとでタカラヅカ文化を考えてみてはいかがでしょうか。

詳細はこちら:

http://www.art-museum.pref.yamanashi.jp/exhibition/specialexhibit_201010.html

会 期 2010年10月30日(土) ~ 11月30日(火)

休館日 11月24、29日

開館時間 9:00 ~ 17:00 (入館は16:30まで)

参考:http://www.yamanashi-kankou.jp/art-museum/topics/2010_ko-tokubetsu-ten.html

(小林も小説を寄稿していたことのある)山梨日日新聞掲載記事:

http://www.sannichi.co.jp/local/news/2010/10/30/12.html

2010年11月13日 (土)

11月17日(水)17:00~ 音楽劇研究会

★以下の研究会の会場がに変更になりました。
早稲田キャンパス8号館4階412教室です。
詳しくはこちらもご覧下さい↓

早稲田大学演劇博物館のオペラ研究会で以下のトークが開催されます。

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宝塚歌劇が、やがては演劇学や音楽学といった学問のなかで研究されていくことを期待します。

一般参加(申込不要)も可能ですのでお知らせします。

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早稲田大学演劇博物館グローバルCOE
「演劇・映像の国際的教育研究拠点」
オペラ/音楽劇の総合的研究プロジェクト

第94回(2010年度第7回)オペラ研究会
日時:11月17日(水) 17時~19時
会場:早稲田キャンパス8号館307教室 
講師:奈加靖子(元宝塚花組・歌手)
ナビゲーター:丸本隆(オペラ研究会主宰) サポート:山梨牧子(宝塚研究)
テーマ:「Takarazuka Girls' Opera:大正生まれの歌劇団にみる「オペラ」への意識と実践」

<概要>
宝塚音楽学校の声楽の授業ではイタリア・オペラが教えられ、学内発表会や試験では原語で歌われ続けています。歌劇団の公演でも、『アイーダ』や『イル・トロヴァト‐レ』等のオペラや『メリー・ウィドウ』、『ジプシー男爵』等のオペレッタをもとに脚色上演がなされてきました。宝塚歌劇という固有の音楽劇のジャンルについて、舞台作りの裏話や個人資料を通して、音楽学校と劇団の仕組を中心に、豊富な経験談を交えてお話します。まもなく100周年を迎える宝塚(少女)歌劇はなぜ「歌劇」として始まり、その意識がいかに現在に続いているのか、宝塚という世界を内側から観察し考察する機会となれば幸いです。(文責:山梨)
<講師プロフィール>
元宝塚歌劇団 花組。
福岡生まれ。県立福岡中央高校で学び、2年中退で宝塚音楽学校に入学。
厳しい学校生活を経て、宝塚歌劇団に入団。退団後、上京し商業演劇の世界へ。舞台女優として、ダンサーとして活躍する。1994年よりボーカリストとしてライブ活動を開始し、1998年より子供の頃から慣れ親しんでいたアイルランド音楽を本格的に始める。2004年、アイルランドへ短期留学し伝統的な歌唱法を学ぶ。後、アイルランド関連のイベントに多数出演。2007年10月、アルバム「Windfall」にて歌手としてメジャーデビュー。都内を中心にライブ活動を精力的に行っている。
http://www.eastvillage.jp/nakayasuko/

2010年11月12日 (金)

第11回宝塚映画祭 盛況のうちに終了

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市民で作り上げる宝塚映画祭も11年目を迎えました。

ご来場下さった皆さま、ありがとうございました!

宝塚映画製作所があった地元の歴史と、宝塚のスタジオから生まれた作品の数々を後世に伝えるという使命のある映画祭、これから益々発展してほしいものです。今年は製作所OBが選んだ傑作選というランナップで撮影の想い出を語るトークも充実していて多くの参加者で賑わいました。

個人的には何度も東京で見逃してしまっていた『なつかしき笛や太鼓』が涙止まらぬ感動作でした。子育て問題や学校問題の多い今、観てほしい映画。木下恵介が執拗に撮り続けた、地についた強かなヒューマニズムと優しいユーモアが胸を打ちます。

開幕直前に刷り上った限定本、OBの方々が400部限定で出版された『わが青春の宝塚映画』(TVドラマ含む作品譜付 約300頁 1000円)が発売されました。読み甲斐があります。
今は無き文化を語るとき、このような個人の思い出や記憶から宝塚の歴史を残していくことも大切だと思いました。 中央図書館や池田文庫にも収められましたので、今後は研究資料としても役立つことを願います。是非ご利用ください。

そして宝塚映画祭は過去の再生に留まる催事ではありません。春樹特集や若手監督の上映会も、現在と未来の映画文化に一石を投じる特徴ある企画でした。その他も、地元の委員の企画で様々催され、小規模だけど宝塚でしかありえない映画の祭典でした。来年も期待しましょう!

報告:山梨牧子

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